憲法審は戦場だ!維新VS立民、公明を巻き込むバトルロイヤル

維新、立民を激しく批判

国会の「憲法審査会(以下、憲法審)」は、憲法改正や関連法案を審議する場である。しかし、実態は改憲派と護憲派の激しい攻防が繰り広げられる「戦場」と化している。

6月13日の衆院憲法審で、日本維新の会の馬場伸幸代表は、立憲民主党(以下、立民)の枝野幸男会長に対し、「本予算案の審議中は憲法審を開かないという因習にあぐらをかき、サボタージュを決め込んでいる」と厳しく批判した。これは、枝野氏らが参院での予算審議を理由に6日の憲法審開催を見送ったことを指している。

また、馬場氏は自民党に対しても、「9日の自民党大会で決定した令和7年運動方針に条文案を起草し、改憲の早期実現に邁進すると明記した」と指摘しつつ、「前年にはあった『年内に実現』という期限は消え、石破茂首相も総裁演説で憲法に触れずじまいだった」と述べた。これらの発言から、維新が「真の改憲政党」としての立場を強調しようとする意図がうかがえる。

立民、公明党の矛盾を指摘

一方、立民は公明党の矛盾を突く戦略を展開している。公明党は「加憲」の立場を取り、現行憲法に新たな理念を追加することを主張しているが、憲法9条の改正や自衛隊の明記には慎重な姿勢を示している。立民はこの点を指摘し、公明党の姿勢に疑問を呈している。

総選挙後の勢力図と憲法改正の行方

2024年10月の総選挙で自民党と公明党の連立与党が過半数を失ったことは、今後の憲法改正議論に大きな影響を及ぼす可能性がある。自民党は191議席、公明党は24議席にとどまり、立民は148議席を獲得。これにより、改憲勢力が衆参両院の3分の2を占める状況が崩れ、憲法改正の発議が困難となった。

維新の改憲戦略

維新は教育の無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置の3項目について、憲法改正を行う姿勢を従来からとっている。2022年の参院選前には、自衛隊の明記と緊急事態条項の創設も改正項目に追加。党の綱領には、憲法改正で「首相公選制」や「一院制(衆参統合)」の実現を目指すことも盛り込まれている。


各党は自らの立場を強化し、支持を拡大するための戦略を模索している。憲法審は、まさに食うか食われるかの「バトルロイヤル」の様相を呈している。

今後の憲法改正議論の行方は、各党の戦略と国民の支持動向に大きく左右される。憲法審での議論がどのように展開されるか、引き続き注目が集まる。

憲法審は食うか食われるかの「バトルロイヤル」だ 維新に攻撃された立民が公明の矛盾突く

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