衆院選2026「経済・物価高対策」主要各党の公約を徹底比較 減税・給付・賃上げで何が違うのか

物価が上がり、実質賃金が伸び悩むなか、2026年2月8日の衆院選は「家計をどう守るか」と「日本経済をどう強くするか」が正面テーマになっています。各党の公約を並べると、減税・給付・賃上げ支援・規制改革・積極財政といった処方箋は似て見えても、狙う景色はかなり違います。争点は一言でいえば、「今すぐ効く痛み止め」と「中長期で効く体質改善」を、どの順番で、どの財源でやるのかです。
経済・物価高対策の主要各党比較(要点)
| 政党 | 経済の基本方針(成長戦略) | 消費税(物価高対応) | 賃上げ・家計支援 | エネルギー・生活コスト | 制度改革の色 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自由民主党 | 「投資と成長の好循環」を掲げ、財政の持続可能性と投資を両立 | 飲食料品の消費税を2年間外す案を国民会議で検討加速 | 税収増を再投資へ | 補助・税制など組み合わせ | 慎重な微修正型 |
| 日本維新の会 | 規制緩和・競争政策で供給力と成長を狙う | 食料品消費税を2年間ゼロ | ガソリン暫定税率廃止など | 電気・ガス補助増額も | 政府縮小・市場重視 |
| 中道改革連合 | 生活者ファースト+円安是正を前面に | 秋から恒久の「食料品消費税ゼロ」 | 給付付き税額控除、社会保険料引き下げ | 円安是正で物価抑制も | 分配と制度の折衷 |
| 国民民主党 | 「手取りを増やす」を軸に、家計第一で需要喚起 | 消費税を一律5%(条件付き)、インボイス廃止 | 「壁」見直し(住民税控除など) | 燃料・光熱の値下げ策 | 減税で可処分所得 |
| 日本共産党 | 大企業の内部留保課税などで財源を作り分配 | 消費税は廃止を目指し緊急に5% | 最低賃金1500円(将来1700円)等 | ガソリン暫定税率廃止は財源確保とセット | 再分配・企業負担 |
| れいわ新選組 | 個人消費を最大エンジンにして景気回復 | 消費税廃止を柱 | まず一律給付(例:10万円) | 給付で物価高を受け止め | 積極財政・即効性 |
| 参政党 | 積極財政で成長・地方インフラ再整備 | 消費税廃止、インボイス廃止 | 国民負担率の引き下げ目標 | インフラ更新で地方重視 | 減税+積極投資 |
| 日本保守党 | 減税で経済活性化 | 食料品(酒類含む)消費税を恒久ゼロ | 生活コストを税で下げる | 再エネ賦課金廃止も主張 | 減税・コスト削減 |
| 社会民主党 | 大企業内部留保課税などで財源 | 消費税ゼロを即時 | 最低賃金1500円以上など | 物価高に負けない賃上げ | 分配・生活防衛 |
| チームみらい | デジタル化・ロボティクスで供給力を上げる | まずは生活必需品を機動支援(減税より支援) | 重点は生活防衛の設計 | コメ流通のデジタル管理で価格安定 | テックで供給・行政改善 |
| 減税日本・ゆうこく連合 | マニフェスト未掲載(集計時点) | 同上 | 同上 | 同上 | 位置づけ確認が必要 |
景気を伸ばすのは「投資」か「競争」か
自由民主党は「財政の持続可能性」を意識しつつ、投資を呼び込み税収増で再投資する「好循環」を看板に置きます。狙いは、成長と財政の両立です。一方で、減税や給付の即効性を前に出す党と比べると、「いつ家計が軽くなるのか」は説明力が問われます。食料品の消費税を2年間外す案を「国民会議」で検討加速とする姿勢は、物価高の痛みに対する目配りですが、制度設計と財源の詰めが焦点になります。
日本維新の会は発想が違います。政府が統制するのではなく、規制緩和と競争で供給力を上げ、価格を押し下げる方向です。「競争政策3点セット」を掲げるのは、企業の参入を増やし、消費者に有利な市場を作るという宣言に近い。物価高を「補助で抑える」より、「競争で下げる」色が濃いのが特徴です。
中道改革連合は、成長と分配の“間”を取りにいきます。円安是正を物価高の原因に据え、政府・日銀の枠組みにも言及しつつ、秋から恒久の食料品消費税ゼロ、給付付き税額控除、社会保険料引き下げを並べています。物価高を税で抑えながら、低所得層まで届く仕組み(税額控除)を用意する狙いは明確ですが、恒久減税をどう持続させるかが最大の論点です。
消費税は「ゼロ」か「5%」か「時限」か
今回の公約比較で、最も分かりやすく割れるのが消費税です。ゼロを即時・恒久で掲げる政党が増え、時限ゼロや5%減税といった“段階論”も混在しています。
国民民主党は、消費税を一律5%に下げる(条件付き)とし、インボイス廃止もセットにします。減税で手取りを増やして消費を回し、賃上げにつなげる「好循環」を狙う設計です。ただ、減税効果は広く薄く届く一方で、財源議論は避けられません。
日本共産党は、消費税は廃止をめざし緊急に5%へ減税、同時に最低賃金引き上げや中小企業の賃上げ支援を強く出します。財源は大企業の内部留保への課税など、企業負担を増やす方向です。企業側の負担増が投資や雇用にどう響くかは賛否が割れるポイントですが、「賃上げを直接作る」思想は一貫しています。
れいわ新選組は「減税まで待てない人がいる」という言葉で、一律給付の即効性を押し出します。消費税廃止を掲げつつ、当面は全国民への現金給付(例:10万円)で物価高を受け止める構図です。ただし給付は、物価そのものを下げるより「耐える資金」を配る政策なので、継続すると財政負担が急増します。
「壁」と「最低賃金」どちらで家計を守るのか
家計支援でも、方向性がきれいに分かれます。国民民主党は「壁」対策を前面に出し、働き控えの解消と可処分所得の増加を狙います。税や社会保険の制度が就労を抑えている、という問題意識が中心です。
これに対し、共産党と社民党は最低賃金の引き上げや賃上げ支援を柱にします。社民党は消費税ゼロと最低賃金1500円以上をセットで、財源を内部留保課税などで賄う構図です。賃金を直接引き上げる政策は分かりやすい反面、中小企業の体力をどう補うかが成否を左右します。
参政党は、減税と社会保険料削減で「使えるお金」を増やし、積極財政で成長と地方インフラ再整備を進める路線です。消費税・インボイス廃止を明記し、負担率の引き下げ目標も掲げています。目標は強いですが、実現プロセスの具体性が問われます。
価格を下げるのは「補助」か「供給力」か
チームみらいは、減税よりも「生活必需品への機動的支援」と「供給力の向上」に軸足があります。コメ流通のデジタル管理で価格の見える化と安定化を狙うのは、生活に直結する食品価格を制度とデータで抑える発想です。物価高の根っこに供給制約がある、という見方に立つぶん、効果は中期戦になりやすいのが弱点でもあります。
日本保守党は、酒類を含む食料品の消費税を恒久ゼロにして、生活コストを税で下げる方針を明確にします。再エネ賦課金の廃止も含め、家計の固定費を削る設計です。
そして、減税日本・ゆうこく連合は、集計時点でマニフェスト未掲載とされています。比較表に「空欄」が残ること自体が、有権者にとっては判断材料になります。投票前に、公式の公約が出たかどうかの確認が必要です。
各党の公約内容(原文要旨)と記者解説
自由民主党
公約要旨は、財政の持続可能性を確保しつつ、大胆な投資で成長を作り税収増を再投資につなげる、という構図です。物価高では飲食料品の消費税を2年間外す案を検討加速としています。成長戦略の説明は整っている一方、家計の「今月の苦しさ」にどう効くかを、減税・補助・賃上げの組み合わせで具体化できるかが勝負になります。
日本維新の会
自由競争とセーフティネットを両輪に、規制緩和・参入促進・破綻処理の整備を「競争政策」として掲げます。物価高では食料品消費税2年間ゼロ、ガソリン暫定税率廃止、電気・ガス補助などを並べます。短期の減税と、長期の供給力改革を同時に走らせる設計ですが、改革の痛み(淘汰や破綻処理)をどう受け止める社会設計にするかがセットで問われます。
中道改革連合
秋から恒久の食料品消費税ゼロ、給付付き税額控除、社会保険料引き下げを柱に、円安是正にも踏み込みます。「低所得にも届く減税」を制度で担保しようとしている点が特徴です。一方、恒久減税は財源の説明が弱いと市場不安に直結しやすく、そこをどうクリアするかが生命線です。
国民民主党
「壁」見直しなどで働き控えを減らし、手取りを増やして消費を回す設計です。物価高では消費税一律5%(条件付き)とインボイス廃止、燃料・光熱の値下げ策を掲げます。家計に効くスピードは速い一方で、減税中心の政策は財源と将来の社会保障の整合性が必ず争点になります。
日本共産党
最低賃金1500円(将来1700円)と中小企業支援を一体で進め、大企業の内部留保への課税などで財源を作る構図です。消費税は廃止をめざし緊急に5%へ減税としています。「賃金を上げて物価高に勝つ」筋が明確です。ただし企業負担の増加が投資や雇用にどう波及するか、現実の副作用を織り込んだ設計が問われます。
れいわ新選組
消費税廃止を柱に、当面の物価高対策として全国民への一律給付を強く訴えます。最も即効性がある一方、給付が常態化すると財政負担が跳ね上がります。給付を「何回」「どこまで」やるのかの線引きが、政策の説得力になります。
参政党
消費税廃止・インボイス廃止、減税と社会保険料削減、積極財政でインフラ再整備という路線です。方向は強いが、実行計画と財政運営の具体性が鍵です。特にインフラ更新は必要性が高いだけに、優先順位づけが問われます。
日本保守党
酒類を含む食料品の消費税を恒久ゼロ、減税で経済活性化を掲げます。家計への分かりやすさが最大の武器です。その一方で、恒久減税の財源と、税体系全体の組み替えをどう説明するかが避けられません。
社会民主党
消費税ゼロを即時、最低賃金1500円以上を掲げ、財源は内部留保課税などを想定します。生活防衛を最前面に置いた設計です。中小企業支援の具体策が厚いほど、現実味が増します。
チームみらい
生活必需品への機動支援、コメ流通のデジタル管理、デジタル化・ロボティクスによる供給力向上を掲げます。物価を「構造で下げる」アプローチです。効果が出るまでの時間差を、短期支援でどう埋めるかが焦点です。
減税日本・ゆうこく連合
集計時点でマニフェスト未掲載のため、比較は保留です。投票前に「公式の公約が出たか」「何を物価高対策の柱にするのか」を確認しないと、判断材料が不足します。




















