中国、東シナ海で資源開発強行 日本政府の弱腰外交が主権を危機に晒す

中国が東シナ海で資源開発を既成事実化 日本政府は“抗議止まり”の弱腰外交に終始

日本と中国が領有権を主張する東シナ海で、中国が再び海上構造物の設置に動き出した。日本政府は24日、これを受けて中国側に抗議したと発表したが、実効性のある対応は見えてこない。外交交渉が何年も止まったままの中、中国は「中間線の既成事実化」を着々と進めている。

「東シナ海の日中中間線付近で、中国が新たな構造物の設置を進めていることが確認された」

これは、日本外務省が発表した内容だ。新たに確認された構造物はこれで20基目にのぼる。設置が確認されたのは2カ月連続であり、いずれも天然ガスなどの海底資源開発を目的としたものと見られている。

外務省は中国大使館を通じて「極めて遺憾」と伝え、2008年に合意された日中共同開発の再交渉を早期に再開するよう要求した。

しかし、この「要求」自体がすでに空回りしている。

進む中国の“実効支配” 対抗策なき日本の現実

そもそも日本と中国は、東シナ海の境界を正式に画定していない。日本は中間線(両国から等距離)を主張している一方、中国は「大陸棚は沖縄トラフまで自然に続いている」として、自国のEEZ(排他的経済水域)をさらに東側に広げる立場をとっている。

そのグレーゾーンを突く形で、中国は着実に構造物を増やしてきた。2008年の共同開発合意以降も一方的な開発をやめず、2022年には日本の抗議にもかかわらず、新たなプラットフォームを稼働させていた。

「日中間で合意したガス田共同開発に逆行する行為だ」

と日本政府は繰り返すが、具体的な対抗措置には踏み込めない。抗議するだけで止まっている現状を、中国は冷静に見抜いている。

国際社会と連携できぬ“遅れた海洋戦略”

米国、オーストラリア、フィリピンなどが中国の海洋進出に対抗し、共同軍事演習や哨戒活動を活発化させている中、日本は単独で抗議を繰り返すだけという構図が続いている。

中国が狙うのは「グレーゾーン」の既成事実化だ。国際法上の紛争地において、実際に手を加えた側が有利になるのは常識であり、中国はまさにそれを実行している。一方の日本は「話し合いで解決を」という原則を崩さないが、その間に現実は変わっている。

外交的には「対話重視」を掲げる岸田政権だが、東シナ海における安全保障環境は急速に悪化している。構造物の設置は資源獲得のみならず、海上プレゼンスの誇示という軍事的意味合いも持つ。

「海底資源の開発と軍事拠点化は地続きの問題だ」

と指摘する安全保障専門家もいる。

日本政府の“想定内抗議”では国益守れず

外交ルートでの抗議という一連の手続きが繰り返されるたび、国民の間からは「また抗議だけ?」「中国の言いなりでは?」という失望の声が高まっている。

X(旧Twitter)では、

「中国の横暴に抗議しかできない日本政府。主権の問題なのに、いつまで静観してるのか」

「抗議だけして終わり。それなら誰でも外務省できる」

といった厳しい意見が多数見られる。

国会内でも、一部の野党議員から「外交という名の自己満足をやめ、実効性のある対応を」との批判が出ている。

2008年合意の“死文化”と現実のギャップ

2008年、当時の福田康夫首相と中国の胡錦濤国家主席との間で合意された「日中ガス田共同開発」。日本側はこれを「外交成果」と称したが、それから15年以上が経過しても、開発どころか交渉すら再開できていない。

中国は「政権が代わったので無効」と主張し、着々と単独開発を進めてきた。日本はその度に抗議するが、事態が好転する兆しはまったく見えない。

共同開発という名の“空約束”が形骸化している中、事実上の既成支配を強めているのは明らかに中国だ。

必要なのは「抗議」ではなく「戦略」

東シナ海の問題は、資源確保のみならず、日本の安全保障・外交の根幹に関わる課題だ。ここで主権や経済的利益を曖昧にしたまま譲歩すれば、南西諸島や沖縄周辺でも同様の事態が起こりかねない。

いま日本が取るべき対応は以下のような具体策だ。

  • 海上保安庁と海上自衛隊による中間線付近の常時監視体制の強化
  • 日米豪印クアッドとの連携による共同監視・情報共有
  • 中国の海洋活動に関わる企業への経済制裁の検討
  • 国際司法裁判所への提訴を視野に入れた法的措置の準備
  • 国内向けの情報開示と説明責任の徹底

外交には「言葉」と同じだけ「行動」が求められる。抗議を繰り返すだけではなく、日本政府は明確な意思表示と実効性のある対策をもって、自国の主権と国益を守る責任がある。

沈黙は外交敗北を意味する

中国が既成事実を積み上げる一方、日本が“抗議止まり”で終わる現状を国民は冷ややかに見ている。外交において沈黙は敗北と同義であり、現実に向き合った戦略なき外交は、国を損なう。

岸田政権は、対話や関係改善の美辞麗句に逃げ込まず、東シナ海をめぐる問題に正面から向き合うべき時に来ている。これは単なる外交問題ではない。国家の尊厳と信頼が問われる、安全保障の最前線なのだ。

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