
また火災、東海第二原発の安全性に改めて疑問の声
茨城県東海村にある東海第二原子力発電所で、再び火災が発生した。今回は原子炉建屋の地下1階、格納容器の至近距離で起きたもので、周辺住民や自治体の不安は一層高まっている。
再稼働を目指す現場で火災、溶接中のケーブルが発火
火災が起きたのは5月30日の午前10時前。安全対策工事の一環として原子炉建屋内で溶接作業が行われていた最中、溶接機の接地用ケーブルから火が出た。作業員が携行していた消火スプレーで初期消火にあたり、外部消防の支援も受けておよそ1時間後に鎮火が確認された。
幸いにもけが人はおらず、放射性物質の漏洩もなかったという。しかし、問題の現場は原子炉格納容器からわずか数メートルの距離に位置しており、万が一の事態を想定すれば、決して小さな火災とは言えない。
火災はこれで9件目、再発防止策は機能しているのか
東海第二原発では、2023年度以降だけでも9件もの火災が相次いでいる。今年2月には中央制御室で煙が上がり、周辺自治体から厳重注意を受けたばかりだ。火災が繰り返されるたびに、原発再稼働の是非をめぐる議論が再燃する。
発電所を運営する日本原子力発電は、「これまでの対策のどこに甘さがあったのかを徹底的に検証し、改善を図る」としているが、再発防止策が十分に機能しているかどうかについては疑問の声も多い。今回の火災を受けて、同様の溶接作業は安全が確認されるまで中断されることになった。
信頼回復の道のり遠く、住民の声は厳しさ増す
地元の東海村や茨城県、そして住民たちは、相次ぐ火災に強い懸念を示している。「安全対策工事の最中に火災が続くようでは、再稼働の資格があるのか疑わしい」と語る住民もおり、信頼回復への道のりは険しい。
再稼働に向けては原子力規制委員会の最終審査や地元自治体の同意が必要とされているが、今回の火災がその流れに水を差すことは確実だ。原電側は今後、消防や規制機関と連携しながら原因調査と再発防止策の見直しを進めるとしている。
ネット上でも「もう限界」との声が続出
SNSでは今回の火災について多くの意見が飛び交っている。
「また火事?これで何回目?原発の安全性なんて信じられない」
「火災のたびに“被害はなかった”って言うけど、それで済む話じゃない」
「再稼働ありきで進めてるけど、これじゃ周辺住民の命が軽視されてる」
「国はちゃんと現場を監視してるの?規制委員会はもっと厳しくして」
「現場の作業員が気の毒。管理体制に問題があるのでは」
こうした声の多くは、現場作業者ではなく、経営や監督体制への不信感を表している。
再稼働への影響と今後の焦点
東海第二原発は、福島第一原発事故以降に全国で初めて40年超の運転延長が認められた施設だ。再稼働に向けては巨額の安全対策工事が続いており、完了の目処はつつがなく進められているとされていた。しかし、度重なる火災はその前提を根底から揺るがしかねない。
火災の直接的な影響はなくとも、周辺住民の理解と信頼を得られなければ再稼働は事実上不可能だ。今回の火災は、単なる工事現場での不注意というより、原発全体の安全管理の在り方に改めて疑問を突きつけるものだ。
今後の焦点は、火災原因の詳細な解明とともに、原電がどのように再発防止に取り組むか、そして国や規制当局がそれにどう関与するかである。東海第二原発の安全と信頼を取り戻すためには、従来の枠を超えた抜本的な対策が求められている。