SNSでの落選運動が逆効果な理由

インターネットでの選挙戦

ここ最近でいうと都知事選、自民党総裁選、そして今回の衆議院議員総選挙とSNSを賑わせる選挙が立て続けにありました。

そして、YouTube動画や色々なサイトのバナー広告などには各政党がこぞって広告を出しています。

各候補者や各陣営はSNSを使った選挙活動も増えてきました。テレビを見ない人たちが増えてきましたので大変有効な手段だと思います。

総務省もインターネット選挙活動についてのガイドラインを公開しています。

SNSを使った落選運動

SNSを使った選挙活動も認められたのですが、リアルな世界とは違い支援者・応援者は家に居ながら不特定多数の人間に対してPRすることが出来るようになりました。

しかし、以下のような落選運動を行う投稿もかなり見かけます。

  • OOOがXXXという不正を行っていた。(根拠あり)
  • OOOが私(自陣営)に対してXXXという嫌がらせをした。
  • OOOがXXXという不正を行っていた。(根拠・証拠なし)
  • 容姿・人相について(この顔はXXXXなど)
  • OOOを当選させてはダメ!

上から根拠がある投稿が多く、下の方になると根拠が乏しくなっています。

根拠が乏しくない投稿はとても感情的に見えます。

応援者や支援者ならまだしも、候補者(候補者名のアカウント)による「根拠が乏しい落選運動」と思われる投稿も多く見かけました。

アメリカの大統領選も現在行われていますが、同様に根拠に乏しい落選運動がよく報道されています。

おそらく、そういった報道を見て日本の選挙でも同様の事が行われるようになったと考えられます。

また、バイトテロのような不祥事はSNSですぐに拡散され社会問題になりますので、そういった効果を見込んでの投稿の可能性もあります。

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根拠に乏しい落選運動投稿が逆効果な理由

他の候補者の不正などを有権者に伝える自候補の有効性を伝えるためにも、落選運動というのは有効な選挙活動かと思います。

しかし、根拠に乏しい落選運動の為のSNS投稿は逆効果になっている可能性があります。

バンドワゴン効果は見込めない

「敵候補は悪!自陣営が正義!自陣営が主流になるべき」というバンドワゴン効果を狙っている投稿かもしれません。

そして、自陣営の士気をあげる効果も見込める可能性があります。

しかし、その投稿が「根拠がない」「内容が感情的すぎる」の場合、客観的に見ている人間からすると学級会での叩きあいのように見えてしまいます。

そういう幼稚と捉えかねない落選運動投稿は逆に、「可哀想に・・・」という敵候補に対してのアンダードック効果を与えてしまっているのでは・・と感じました。

X(旧Twitter)では限られた文字数での投稿です。

その限られた文字数の中で根拠を明確にすることが難しいかと思いますが、根拠に乏しい・感情的な落選運動投稿は、見込んだ効果の逆の効果になってるケースも少なくないと思います。

バンドワゴン効果・アンダードック効果

バンドワゴン効果とは、多くの人が支持しているものや人に対して、さらに支持が高くなる現象です。「勝ち馬に乗る」「時流に乗る」といった表現で知られており、人間の行動心理に基づいた現象です。

アンダードッグ効果とは、競争や対立の場面で、勝利の見込みが少ないとされる者やグループなどに同情してしまう心理現象です。

アメリカ大統領選とは日本の選挙

アメリカ大統領選は日本のメディアでも頻繁に報道されます。また、著名人や芸能人・アーティストの支持や相手候補に対する落選運動も多く見かけます。

アメリカ大統領選は毎回国を二分するほどの接戦選挙になり白熱します。

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そういった白熱した選挙活動の一部として落選運動もあるのですが、メディアは視聴者が興味を持ちそうな部分だけ切り取り報道します。

一方、今回のような衆議院議員総選挙は現実的な話、現与党が過半数割れするかしないかの選挙です。

「政権交代をする!」という政党もありますが、そういう政党でも小選挙区で過半数をとるほどの候補者を出していないのが現実です。

終わってみないとわかりませんが、今回の衆院選の投票率はかなり低い数字にとなると思います。アメリカ大統領のように「白熱した選挙」ではないのです。

そういう選挙で、感情的なSNS投稿を見た有権者はどう思うのでしょうか?

また日本特有の考え方もあるかと思います。アメリカの場合はバンドワゴン効果に乗る有権者が多いように感じますが、日本の場合はそういう人たちを眉をひそめて見る人も少なくないのではないでしょうか。

組織票が大きい

日本の選挙は組織票が大きい傾向にあります。それが理由でここ最近の大きな選挙では、ほぼ全てのメディアが予想を外したのではないでしょうか?

メディアによる独自調査というのは、個人に対して行われるものです。当然結果とは差が出てきてしまいます。

以前の選挙関連のニュースでは「OO(組織名)がXX党を支持」などと報じられていたと思うのですが、最近聞かないのは何故なんでしょう・・・(大人の事情があるんですか?)

東京都知事選

東京都知事選では、ある候補者の街頭演説に集まる人達を大きく報道され動画サイトも切り抜きなどでも多数投稿され視聴されました。

しかし、現職は公務の都合で街頭演説はほとんど行いませんでした。結果、現職の当選です。

現職が多くの組織や団体にメリットや恩恵を与える事ができていたのだと考えられます。

自民党総裁選

自民党総裁選は、党員票の多かった候補者は決選投票になり議員票という組織票でひっくり返されました。

組織票が大きい

もちろん組織票と言っても、その組織に属する人が組織が応援する候補者に投票するとは限りません。

その政治家が議員であることで、恩恵がある組織・潤う組織に属している以上、その組織に属している有権者はメリットがある候補者に投票するのではないでしょうか。

利権(メリット・恩恵)を多く、大きな組織に持ってくる候補者が当選しやすい傾向にあります。それなので、大きな利権・恩恵を与える立場の選挙では、現職からひっくり返る事は少ないです。

落選運動の投稿をSNSで行うなら、そういう組織内の人のメリットよりも大きな内容の投稿をしない限り、冷ややかな目で見られるだけで、敵候補にアンダードック効果が働いてしまうと考えられます。

大切なのは公約を吟味して投票に行くこと

色々な選挙活動があるかと思いますが、大切なことは民意を反映させる事です。好き嫌いなどで投票はするべきでは無いと思います。

大切なことは、公約を吟味し投票に行くことです。

  • 実現可能な内容なのか
  • 公約を果たすための根拠は示されているのか
  • 内容は明確なのか

上記のように公約をしっかり吟味することが必要ではないでしょうか?

絵空事の公約も多く見かけますが、そういう候補者が当選して「騙された」となるのは有権者にも責任があると思います。

しっかりと自分の理想と近い且つ絵空事ではない公約を掲げている政治家に投票していくことが大切です。

落選運動も有効な選挙活動かもしれませんが、公約をしっかり行動し続ける事が1番の選挙活動につながるのではないでしょうか?

そうすることによって、組織票に含まれている人たちの中にも自分の正義(考え)で投票する人も多くなってくると思います。

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