トランプ氏、新たな関税措置を示唆 2〜3週間以内に再発動も視野

目次

トランプ氏「2〜3週間以内に関税再発動の可能性」 再び高まる貿易摩擦の懸念

ドナルド・トランプ米大統領は4月23日、今後2〜3週間のうちに、一部の国に対して新たな関税措置を取る可能性があると述べた。すでに米国はほとんどの輸入品に一律10%の関税を課しており、今回の発言は追加関税やさらなる強化を意味するものと受け止められている。各国との交渉がまとまらなければ、最大50%という高関税を課す選択肢も排除しない構えだ。

「交渉で合意できなければ、関税だ」

トランプ氏はホワイトハウスでの記者団に対し、「最終的には素晴らしい合意に至るだろう」と述べたうえで、「しかし、企業や国との間で合意できない場合には、関税を設定することになる。おそらく今後2〜3週間のうちだ」と語った。

すでに米政権は今月9日、いわゆる「相互関税」の発動を一時停止し、各国との協議に90日間の猶予を設けている。政府関係者によれば、交渉の申し出は世界で90カ国以上にのぼっているという。しかし、限られた時間の中で全ての国と新たな約束を交わすのは現実的に困難だ。

交渉が不調に終われば、トランプ氏は最大で50%の関税を課す可能性があるとされ、各国は対応に追われている。

不透明な政策、各国と企業に広がる警戒

トランプ氏の関税政策には依然として不透明な点が多い。今回示唆された新たな措置が、現在停止中の相互関税に代わる恒久措置となるのか、それとも交渉の“つなぎ”としての一時的なもので終わるのかも、はっきりしていない。

米国はすでにほぼ全ての輸入品に10%の関税をかけており、一部の製品にはより高い税率が適用されている。関税対象となる品目が拡大されれば、企業活動や消費者物価にも影響は避けられない。

イギリスやドイツ、日本といった主要国では、関税強化の影響が金融政策や産業界に波及しつつある。日本では、スマートフォンや自動車など主要輸出品が関税の対象とされ、企業の採算を直撃している。

市場は動揺、IMFやFRBも警鐘

国際通貨基金(IMF)は、トランプ政権の通商政策が世界経済のリスク要因になっているとし、今年の世界成長率見通しを下方修正。米連邦準備制度(FRB)も、輸入品価格の上昇がインフレ圧力を招くと警戒している。

トランプ氏の方針は、国内産業の保護と対中強硬路線をアピールする狙いがあるとみられるが、世界的な貿易秩序の不安定化を招きつつある。米中摩擦が再び激化すれば、株価や為替にも影響し、企業の経営判断に大きな不確実性をもたらす。


関税を巡る交渉は正念場を迎えている。交渉期限までに合意に至らなければ、トランプ政権は本当に“次の一手”を打つのか。世界経済の行方を大きく左右する局面に、各国の目が注がれている。

トランプ氏、2~3週間以内に新たな関税措置講じる可能性に言及

関連記事

おすすめ記事

  1. 近年、全樹脂電池技術に関する機微情報が中国企業に流出した疑惑が浮上し、経済安全保障上の重大な問題と…
  2. 大阪で拡大する“民泊マンション” 住民からは「制度に欠陥」と不安の声 訪日観光客の急増ととも…
  3. 中国バブル崩壊、じわじわ日本に影響拡大 ニセコのリゾート建設中断や観光キャンセル続出 中国で…
  4. 2025年7月、いよいよ参議院選挙が実施される。この選挙は、日本の立法府における重要な役割を果たす…
  5. 沖ノ鳥島周辺に眠るレアメタルと中国の調査船活動――資源争奪で日中関係再び緊張
    中国、「沖ノ鳥島は岩」と再主張 日本のEEZを否定 資源めぐり緊張再燃 中国政府は2025年…

新着記事

  1. 重要な土地を外国資本に奪われるリスク 政府の動きの遅さが招く“静かなる有事” 政府が初…
  2. 米ペンシルベニア州USスチール工場で爆発 死者2人・負傷10人 日本製鉄傘下で発生 米国東部…
  3. 日本移住で大学まで学費無料?中国で密かに広がる“教育支援”悪用の動き 厚生労働省の統計によれ…
  4. 日米関係に新たな火種か 米国が日本製品に15%の追加関税を発動 「合意」との齟齬に懸念広がる …
  5. 石破政権に「ネット言論統制」疑惑 削除要請の根拠示さず批判拡大 参院選を終えたばかりの自民党…
  6. CIA資金提供疑惑と河野洋平氏の非公開要請 戦後最大級の「政治とカネ」問題が再燃 冷戦期、米…
  7. 政治と税制の透明性に関する新たな提起:マイナンバー・インボイスと政治献金の「紐づけ」へ 制度…
  8. トランプ氏、対日15%関税に署名 カナダには35% 7日後に発動へ 米国のトランプ大統領は7…
  9. 外国人ドライバーの事故が増加傾向 免許取得のハードルの低さが安全脅かす 日本で車を運転する外…
  10. 【ベトナム技能実習生の逃亡が最多に】制度のほころびが生む不法滞在と犯罪の連鎖 佐賀県伊万里市…
ページ上部へ戻る