英霊への誓いと政治の立ち位置――超党派議員70人、春の靖国神社を参拝

春の靖国に、国会議員が集団参拝 超党派で約70人参加

春の穏やかな日差しの中、東京・九段北にある靖国神社で22日、春季例大祭にあわせて超党派の国会議員らが集団参拝を行った。主催したのは「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」。自民党、立憲民主党、日本維新の会などの与野党から、衆参あわせて約70人が顔を揃えた。

1981年に発足したこの会は、春と秋の例大祭、そして終戦記念日の8月15日などに靖国神社を訪れ、戦没者の慰霊と平和への誓いを新たにする活動を続けてきた。今回も例年どおり、厳かな空気の中での参拝となった。

参拝後、同会の副会長を務める自民党の逢沢一郎衆院議員は報道陣の取材に応じ、「多くのご英霊の犠牲の上に、今の安定した日本がある。この歴史をけっして忘れぬよう、感謝の気持ちを込めて手を合わせた」と語った。

靖国神社は、明治維新から第二次世界大戦までの戦没者246万人余りが祀られており、国内では英霊への敬意と感謝を表す場として重視されている。一方で、A級戦犯が合祀されていることから、海外──特に中国や韓国──からは、政治家の参拝が過去の軍国主義を肯定する行為だとして、強い反発が繰り返されている。

今回の集団参拝にも、公明党や共産党、れいわ新選組、社民党の議員は参加していない。一方で、保守系の議員を中心に、党派を超えて戦没者を追悼する動きが定着していることもうかがえる。

過去の例では、2022年4月の春季例大祭には103人が参拝し、岸田政権の副大臣・政務官も含まれていた。2021年の年末には99人が参拝に加わった記録もある。

今後も靖国神社への政治家の参拝をめぐっては、外交関係や世論を含めた議論が続く見通しだ。ただ、参拝に込める思いは、「英霊に報いる日本をどう築いていくか」という、過去と未来の接点を問う行為でもある。

  • 春季例大祭にあわせて、国会議員約70人が靖国神社を集団参拝
  • 自民、立憲、維新など超党派が参加(公明・共産などは不参加)
  • 副会長の逢沢一郎議員「英霊の犠牲の上に今がある」と強調
  • 靖国神社への政治家参拝は、国内外で賛否が分かれる
  • 会は1981年設立、年3回の参拝活動を継続
  • 中国・韓国は過去の例からも反発姿勢

超党派議員の会が靖国参拝

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