
旧統一教会に解散命令、民法上の不法行為を理由に
2023年10月、文部科学省は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対し、解散命令を東京地方裁判所に請求しました。教団側はこれに全面的に反発していましたが、2025年3月25日、東京地裁はついに教団に解散命令を出しました。これにより、教団は民法上の不法行為、特に高額献金や霊感商法などが問題視され、裁判所が宗教法人の解散を命じたのは今回が初めてとなります。
解散命令が下された背景
宗教法人法では、法人が法令に違反し、公共の福祉を著しく害する場合に解散命令を出すことができるとされています。これまで解散命令が下されるケースは主に刑法違反に基づいていましたが、今回は民法上の不法行為が理由となったのです。具体的には、信者に対する高額献金の強要や、霊感商法による不当な財産取得などが問題視されました。
旧統一教会の実態とその問題点
旧統一教会は1960年代から活動を開始し、1970年代には「原理運動」を展開、信者が家族との連絡を断つなどの活動を行ってきました。特に1980年代には「霊感商法」として、壺や印鑑を高額で販売する行為が社会問題化し、さらに1990年代には合同結婚式を通じて多くの有名人を巻き込むなど、波紋を広げました。これらの活動は、信者やその家族に大きな精神的・経済的負担をかけ、社会的な非難を浴びてきました。
解散命令の決定的な要因
今回の解散命令を決定づけたのは、教団内で行われていた献金集めの実態です。内部資料によると、信者に対して姓名鑑定や手相占いを通じ、高額な守護印を購入させる手法が明らかになっています。これらの行為は社会的に許容される範囲を越えており、信者に対して精神的・経済的な圧力をかけていたことが問題視されました。
解散命令の影響と今後の展開
解散命令が確定すれば、旧統一教会は宗教法人格を失い、税制上の優遇措置も受けられなくなります。これにより、教団は財産の清算手続きを進めることが求められ、信者への適切な補償や被害者救済が進むことが期待されます。しかし、教団側は不服を申し立てることができ、今後の法的手続きによって最終的な結果が決まることになります。
社会への影響と今後の課題
この解散命令は、宗教法人に対する法的責任を問う初めての重要なケースです。今後は、同様の問題が再発しないよう、宗教団体の活動に対する監視強化や、信者への適切な支援体制の構築が必要とされます。また、社会全体で宗教法人の活動に対する理解を深め、法的枠組みを整備していくことも重要な課題となるでしょう。
旧統一教会に下された解散命令は、民法上の不法行為を理由とする初めての事例であり、宗教法人に対する法的責任が改めて問われることとなりました。今後の法的手続きや社会への影響に注目し、同様の問題が繰り返されないような対策が求められます。