「減税はポピュリズム」と批判しながら…自民党がタレント候補を大量擁立する矛盾

【自民党の自己矛盾が浮き彫りに】「ポピュリズム批判」と「タレント擁立」戦略の二重基準に有権者の疑問

自民党が他党の掲げる減税政策や給付金の訴えを「ポピュリズム」と強く批判する一方、自らは今夏の参院選で多数のタレント候補を比例名簿に登用するという、極めて選挙目当ての手法を展開している。この矛盾した姿勢に、世論から「ダブルスタンダードではないか」という批判が相次いでいる。

減税=ポピュリズム?自民党の一方的なレッテル貼り

自民党は、物価高対策として消費税の一時的引き下げを主張する野党の動きに対し、「将来の財政を無視した無責任な迎合」と位置づけている。特に政権幹部からは「耳障りの良いことを言って票を取ろうとするだけのポピュリズム政治は許されない」との声も聞かれる。

しかし、コロナ禍以降、国民の生活が逼迫し続けるなかで、減税や現金給付を求める声はむしろ現実的な政策提案として多くの支持を集めている。それを「ポピュリズム」と一蹴する姿勢に対し、「庶民感覚からずれている」とする批判も根強い。

「知名度重視」タレント候補、比例名簿にズラリ

その一方で、自民党は今回の参院選に向けて、著名なスポーツ選手や芸能人、インフルエンサーなどを次々と候補として擁立。選挙区での立候補ではなく、比例代表に配置することで、知名度を活かして広く票を集めようとしている。

この戦略には、「どんな政策を掲げているのか分からない」「国政の場で本当に機能するのか」といった懸念の声も多く、かえって党の信頼性を損なっていると指摘する向きもある。

実際に、タレント候補の登場が報じられるたびにSNS上では「この人、政策語れるの?」「知名度だけで選ばれていいのか」という疑問の声が噴出している。

自分に甘く他人に厳しい、「二重基準」への不信感

自民党が他党の減税や生活支援策を「大衆迎合」と批判する一方で、自らはタレントの知名度頼みで選挙を戦う。この姿勢に「ご都合主義ではないか」「自分たちの人気取りはOKなのか」といった不信感が広がっている。

選挙戦において有権者の注目を集める手法として、タレント候補の擁立は確かに即効性がある。だが、国会での活動において問われるのは、知名度よりも政策立案能力や議論力、そして国民の声をくみ取る姿勢である。

その本質を軽視した選挙戦略は、結果的に政治への信頼をさらに損ねることになりかねない。

自民党内からもくすぶる疑問の声

一部の自民党議員からも、「このままでは政党の品格が損なわれる」「政策ではなく名前で票を集めるやり方は、結果的に自民党を弱体化させる」といった懸念が上がっている。

また、かつては「人物本位の選挙」を掲げていた自民党が、比例代表で“顔だけ”を前面に出すという逆転現象にも、党内からの批判がある。

有権者の目が試される夏の選挙

今回の参院選では、自民党がどれほど「国民の生活に寄り添う政策」を示せるか、そしてそれが候補者一人ひとりの言葉や行動にどう表れているかが試される。

「減税はポピュリズムだからNG」「でもタレント候補で票は取りたい」という姿勢が真に問われるのは、投票所に足を運ぶ国民一人ひとりの判断力に他ならない。

タレント候補の人気やイメージだけに流されることなく、その候補が本当に国のために働けるのかを見極める――それこそが今、求められている冷静な視点である。

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