オーバーツーリズムは、特定の観光地に観光客が過度に集中することで、地元住民の生活や環境に悪影響を及ぼす現象です。京都市東山区の清水寺周辺の事例に加え、日本国内の他の地域でも同様の問題が発生しています。以下に、いくつかの事例とその対策を紹介します。
京都市のバス混雑問題
京都市では、観光客がバス停に長蛇の列を作り、地元の人々がバスに乗れない状況が多発しています。この問題に対処するため、京都市は2023年9月末に「バス1日券」の販売を廃止し、パスの利用も2024年3月末で停止する方針を発表しました。代わりに、地下鉄とバスが乗り放題となる「地下鉄・バス1日券」の利用を促進し、バスの混雑を緩和することを目指しています。
宮古島の交通混雑と環境悪化
沖縄県の宮古島では、観光客数の急増により、レンタカーの増加が交通渋滞や事故の増加を引き起こし、シュノーケリングなどの観光活動が海の環境悪化を招いています。市は、今後10年間で年間観光客数の目標を200万人に設定していますが、オーバーツーリズムの指摘もあり、市民生活の快適・安心・安全を確保するため、受け入れ能力の精査を行っています。
鎌倉市の「スラムダンク」聖地巡礼問題
神奈川県鎌倉市では、バスケットボール漫画「スラムダンク」の映画公開後、原作の舞台となった場所に多くの観光客が訪れ、車道に飛び出しての写真撮影やゴミの放置、騒音などの迷惑行為が増加しています。近隣住民からは、警備員の配置強化を求める声が上がっています。
高山市の観光地での混雑とマナー違反
岐阜県高山市の古い町並みでは、観光客の増加により、歩行者の混雑やゴミのポイ捨て、騒音などのマナー違反が問題となっています。地元住民は、観光客に対してマナーの向上を求める声を上げています。
箱根町の観光地での混雑と環境への影響
神奈川県箱根町では、観光客の増加により、温泉地の混雑やゴミの増加、自然環境への影響が懸念されています。地元自治体は、観光客の分散化やマナー向上を促進するための取り組みを進めています。
オーバーツーリズムは、特定の観光地に観光客が過度に集中することで、地元住民の生活や環境に悪影響を及ぼす現象です。京都市東山区の清水寺周辺の事例に加え、日本国内の他の地域でも同様の問題が発生しています。以下に、いくつかの事例とその対策を紹介します。
海外のオーバーツーリズム事例
スペイン・バルセロナ
バルセロナでは、観光業の急増により、住民との対立が生じています。観光客が集中するゴシック地区では、騒音やゴミ、違法な民泊が問題となり、住民生活に悪影響を及ぼしています。また、クルーズ船が港に乗り入れることによって、交通渋滞や環境問題も深刻化しています。
対応策
バルセロナ市は観光客数を制限するため、観光名所の入場制限や民泊規制を強化し、観光客の分散化を進めています。また、観光税を増額し、得られた資金を市民生活の改善に充てることを検討しています。
イタリア・ベネチア
ベネチアでは、大型クルーズ船の乗り入れが問題となり、運河や歴史的建物にダメージを与えることが懸念されています。観光客の急増により、住民の生活環境が圧迫され、環境負荷が増加しています。
対応策
イタリア政府は、2021年に大型クルーズ船のベネチア旧市街への入港を禁止しました。観光客数を制限するため、予約制や入場制限を導入し、観光地の環境保護に力を入れています。
オランダ・アムステルダム
アムステルダムでは、観光客の急増による騒音やゴミ、公共スペースの占拠が問題となっています。観光地周辺での違法駐車や飲酒も住民の不満を招いています。
対応策
市は観光地の混雑を避けるために観光税を引き上げ、民泊の規制を強化しました。観光地周辺の分散化を進めるため、観光客に対して他の地域を訪れるよう呼びかけています。
アメリカ・ハワイ
ハワイでは観光業が経済の中心ですが、観光客の急増が環境や社会に悪影響を及ぼしています。特に、ビーチや自然公園の劣化が問題となり、住民生活にも影響を与えています。
対応策
観光税の増額や観光客数の制限が検討されており、観光資源の持続可能な利用を進めるため、地域住民との協力を強化しています。観光業者には環境に配慮した運営が求められています。
フィリピン・ボラカイ島
ボラカイ島では観光客の急増により、ビーチが汚染され、環境が劣化していました。観光地周辺のインフラも過負荷になり、地域住民の生活が圧迫されています。
対応策
フィリピン政府はボラカイ島を一時閉鎖し、環境整備とインフラの改善を行いました。再開後は観光客数を制限し、持続可能な観光を推進するための規制を強化しています。
オーバーツーリズムは、観光地の魅力を損なうことなく、地域住民の生活環境を守るための重要な課題です。日本国内外での取り組みを参考にし、観光業の持続可能性を高めるために、観光客の適正管理、地域住民との共生、環境保護を考慮した対策を進めることが求められています。
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