訪日外国人「爆買い」で日本の物価高騰?消費税免税制度見直し議論が白熱

訪日外国人の「爆買い」で物価高騰? 消費税免税制度見直しに揺れる日本

日本を訪れる外国人観光客が増える中、「爆買い」と呼ばれる大量購入が国内の物価上昇の一因として注目されている。特に消費税免税制度を利用した不正転売が問題視され、与野党の間で免税措置廃止論がくすぶる事態となっている。

訪日外国人の「爆買い」と消費税免税制度

訪日外国人観光客は、日本で購入した商品を免税価格で手に入れることができる。この制度は、観光業を振興し、外国人の消費を促進するために導入された。しかし、免税を悪用し、国内で購入した商品を海外で高値で転売する「不正転売」が横行。さらに、外国人が日本国内で免税価格で購入した商品を国内で転売し、利益を得るケースも増えている。

消費税免税制度は、日本政府が観光振興策の一環として設けたもので、訪日客が一定の条件を満たす場合、購入した商品に消費税を支払う必要がない。これにより、家電、化粧品、高級ブランド品などが人気となり、観光客は日本での買い物を楽しむことができた。

物価高騰と不正転売の実態

しかし、この制度を悪用した「不正転売」は、国内の小売価格に悪影響を及ぼしている。特に人気商品は訪日客による大量購入で品薄となり、国内の消費者が割高な価格で購入を強いられることも。観光業界からは「日本人の消費者が割を食っている」との批判が出ている。

免税品の転売は法的に禁止されているが、実際には摘発が難しく、監視体制も十分ではない。出国時に免税品を持ち出す義務があるものの、税関での検査は抜き打ちで、すり抜ける例も多い。こうした不正を防ぐため、政府は免税制度の見直しを進めている。

消費税免税制度の見直し議論

政府は、2026年11月から「リファンド方式」を導入し、訪日客が購入時に消費税を支払い、出国時に消費税分を還付する仕組みを採用する予定だ。これにより、出国時に免税品を所持していない場合は還付されず、不正転売を抑止できると期待されている。

また、免税対象者を短期滞在の観光客に限定し、長期滞在者や留学生は免税の対象外とすることも検討されている。これにより、免税制度の本来の目的である「観光客の消費促進」に絞る形となる。

与野党での廃止議論と今後の展望

与党内では、消費税免税措置の見直しを支持する声が強まっている。特に物価高の中で、税収を増やすためにも免税を撤廃すべきとの主張が目立つ。一方、観光業界からは「外国人観光客の消費が減少し、経済に悪影響を及ぼす」との反発もある。

立憲民主党や日本維新の会は、免税制度の廃止を支持しつつ、観光客誘致策の強化を求める。一方、自民党内には、免税制度を維持しつつ、不正転売防止のための規制強化を求める意見もあり、議論は続く見込みだ。

日本の物価高騰にどう影響するのか

訪日外国人の「爆買い」は、日本の物価上昇にも影響を与えている。特に人気商品や地域限定品は外国人観光客に買い占められ、品薄による価格高騰が発生。これにより、国内の消費者が高額で購入する羽目になる。

今後、消費税免税制度の見直しがどのように進むかによって、日本の物価や消費者生活にも影響を与えることは間違いない。

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