
再エネ発電事業者、過去最多の倒産・廃業 2024年度は厳しい局面に
再生可能エネルギー(再エネ)を活用した発電事業者が、2024年度(2024年4月~2025年3月)に記録的な倒産・廃業に見舞われたことが明らかになった。帝国データバンクの調査によると、負債1,000万円以上の法的整理による倒産が8件、休廃業・解散が44件に上り、合計52件の事業者が市場から姿を消した。これは前年度の倍増にあたり、再エネ事業者にとって厳しい一年となった。
FIT制度の縮小とコスト増が事業者を圧迫
再エネ発電事業者の経営を圧迫している要因は、主に2つある。一つは「固定価格買取制度(FIT)」の買取価格引き下げだ。FITは2012年の導入以来、再エネの普及を後押ししてきたが、近年は価格が引き下げられ、発電した電力を高値で売ることが難しくなった。もう一つは、燃料費や維持管理コストの増加である。
特に太陽光発電や木質バイオマス発電が打撃を受けている。たとえば、全国に8万ヘクタールの用地を確保し大規模な太陽光発電を展開していた「いろは商会」は、買取価格の低下により採算が合わず、2024年7月に破産を余儀なくされた。
一方、木質バイオマス発電では、木質チップの価格が国産・輸入材ともに高騰し、設備の不具合や事故も重なり、運営コストが急増。2025年1月に破産した「新宮フォレストエナジー」もその一例だ。
再エネ市場の構造変化 企業に求められる柔軟性
再エネ事業者が苦境に立たされる背景には、市場構造の変化もある。FIT制度は当初、固定価格で電力を買い取ることで事業者の収益を安定させる仕組みだったが、現在は電力市場を通じた販売が求められるようになり、価格変動リスクを抱えることになった。
さらに、脱炭素化を掲げた政策の下、大手企業や海外勢が積極的に再エネ市場に参入。競争が激化し、中小規模の発電事業者が淘汰される傾向が強まっている。特に風力や太陽光に比べて安定した発電が見込める木質バイオマス発電でも、コスト管理が難しく、多くの企業が苦戦している。
地域主導の再エネ導入に期待も
こうした中でも、地域主導での再エネ導入を支援する動きが進んでいる。政府は、地方自治体が地産地消型の再エネプロジェクトを立ち上げられるよう、補助金や専門アドバイザーの派遣を通じた支援を行っている。これにより、地域資源を活用した発電事業が安定し、地域経済の活性化につながることが期待されている。
再エネ事業者の生き残り戦略は?
厳しい市場環境の中で、再エネ発電事業者は以下のような戦略が求められている:
- コスト削減と効率化:設備の維持管理費を抑え、発電効率を向上させることが重要。
- 多様な収入源の確保:電力販売以外にも、新たなサービス提供で収益を確保。
- 新技術の導入:蓄電池を活用し、電力需給の変動に柔軟に対応する。
- リスクマネジメント強化:市場価格や燃料費の変動リスクに備える仕組みを構築。
再エネ発電事業者の倒産が増加している一方で、再エネへのニーズは引き続き高まっている。今後は市場の構造変化に柔軟に対応し、持続可能なビジネスモデルを確立できるかが鍵となる。
参考サイト
<a href="https://news.yahoo.co.jp/articles/232f8d434e61748956a5fda5abbda47733e19d65" target="_blank" rel="noopener" title="">「再エネ発電」が苦境 発電所の倒産、過去最多 2024年度</a>