
中国ヘリ発艦で民間機引き返し 尖閣周辺での緊張高まる
日本の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で、中国の海警局艦船からヘリコプターが発艦し、民間機が引き返す事態が発生した。81歳のパイロット、志摩弘章さん(京都市在住)は、知人とともに自家用機で新石垣空港を飛び立ち、尖閣諸島上空を目指したが、中国ヘリの発艦を受け、海上保安庁から「危険」と警告を受けて引き返したという。
民間機パイロットが語る現場の緊迫感
「本当に驚きました。まさか中国のヘリが飛んでくるなんて…」志摩さんは当時の様子を振り返った。5月3日午前11時40分、新石垣空港を離陸し、尖閣諸島に向かった。目指す島々まで約10数キロの距離に達したところで、海上保安庁から無線が入った。「周辺を航行する中国船からヘリが飛び立ったため、大変危険。退避を」との警告だった。
志摩さんはそのまま引き返し、無事に石垣空港へ戻ったが、「中国側は本気で尖閣を自分たちのものだと思っているのだろう」と胸の内を明かす。彼が尖閣問題に関心を持ったのは2010年、尖閣沖で中国漁船が日本の海上保安庁巡視船に衝突した事件がきっかけだという。「あの時、民主党政権が中国人船長を釈放したことに疑問を感じた」と振り返る。
2015年には一度、同じ自家用機で尖閣諸島上空を飛行し、島々の写真も撮影している。だが当時は中国船は確認できず、海保の巡視船が見えるだけだった。今回は状況が一変していた。
中国海警局のヘリが日本の領空に迫る
今回、中国海警局の艦船から発艦したヘリコプターは、日本の領空に接近し、15分間飛行を続けた。防衛省によると、この事態に対応するため航空自衛隊の戦闘機が緊急発進したという。日本政府は中国側に厳重に抗議し、再発防止を求めた。
一方、中国側は「釣魚島(日本が主張する尖閣諸島)の上空で不法に飛行した日本の民間機に対し、ヘリを発艦し警告した」と主張している。中国は尖閣諸島を「自国の領土」と見なしており、その姿勢は一貫して強硬だ。
尖閣諸島周辺の緊張は高まる一方
尖閣諸島周辺では近年、中国公船の領海侵入が常態化し、その数も増加。船の大型化や武装化が進み、海上保安庁も対応に追われている。今回のように、上空でのヘリコプター発艦という新たな動きは、尖閣を巡る緊張が新たな段階に入ったことを示している。
「日本はちょっと脅せばすぐに引き下がると、中国は思っているのかもしれません」と志摩さんは語る。「でも、我々国民も黙っていてはいけない。海保任せにせず、関心を持ち続けるべきだ」。彼の強い思いは、今回の飛行に込められていた。
日本政府は引き続き、尖閣周辺の警備を強化し、中国側への抗議を続ける方針だが、現場で対峙する海上保安庁の負担も増している。今後、日本の安全保障をどのように強化していくべきかが問われている。
参考サイト
<a href="https://yaeyama-nippo.co.jp/archives/25457" target="_blank" rel="noopener" title="">中国ヘリ発艦で引き返す 尖閣周辺で飛行の民間機 機長、当時の状況証言</a>