
外国人の「医療費未払い」問題、自治体を圧迫 制度見直しへ議論急務
日本の誇る皆保険制度が、いま大きな歪みに直面している。背景にあるのは、在留外国人の国民健康保険(国保)料の未納、そして医療機関での診療費“踏み倒し”だ。現場では「もう限界だ」との声も聞かれる。新宿区では未納額が11億円を超え、日本人の税金で穴埋めされている現状が浮き彫りになっている。
新宿区の深刻な実態
東京都新宿区では、外国人世帯の国保納付率がわずか44%にとどまり、未納額は約11億3,000万円にのぼる。これは本来、保険料として徴収されるべきお金だが、未納分は自治体の一般財源、つまり住民の税金で補われている。
新宿区に限らず、東京都内の他の自治体でも同様の課題が顕在化。板橋区では、中国人世帯の34.3%が未納で、総額1億円以上。ウズベキスタン人では未納率が86.5%に達するなど、国籍によって傾向が偏っている実態も明らかになっている。
医療機関にも広がる“未払い”の影
国保の未納に加え、医療機関での診療費未払いも深刻な問題だ。厚生労働省の調査によれば、外国人患者のうち、在留外国人で「1人以上未払いがあった」とする病院は17.1%。1医療機関あたり平均約150万円の損失となっており、病院経営を圧迫している。
なかには、未払い額が1,000万円を超える病院も。大半が入院や高度な医療を要するケースで、「保険証は持っているが、保険料は払っていない」という例も少なくない。
「制度を知らない」から「悪用」まで
自治体の窓口では、「そもそも保険制度の存在自体を知らなかった」という外国人の声が多く聞かれる一方で、意図的に保険料を払わず医療サービスだけ受ける“タダ乗り”も疑われている。
特に飲食店や建設現場で働く一部外国人については、同じ事業所の複数人が未納だったり、同一ブローカー経由で来日していたりと、「組織的な未納」が指摘されるケースも出てきている。
自治体の対応にも限界
こうした事態を受けて、新宿区では2025年4月から「滞納対策課」を新設。専門の部署で督促を強化しているが、「引っ越しされると追跡が困難」「世帯主が日本人だと外国人家族の未納が把握しにくい」など、制度上の課題も多い。
また、他の自治体と情報を連携できる仕組みがないため、転居されたら“逃げ得”になってしまうケースも少なくない。
制度の持続可能性が問われている
問題の本質は、保険制度が“性善説”に立って運用されてきたことにある。長期滞在する外国人が増える中で、国保や医療制度が今のままの設計で持ちこたえられるかは極めて疑問だ。
このまま未納や踏み倒しを放置すれば、制度そのものの信頼性が揺らぎ、日本人住民の負担増にもつながりかねない。
現場の声、そして今後
板橋区や横浜市では、出入国在留管理局と連携し、未納情報を共有する新たな制度も動き出しているが、全国に広がるには時間がかかる。加えて、入国時に医療保険加入を義務化する、医療費の前払い制導入など、抜本的な制度改革も視野に入れるべきとの声があがっている。
玉木雄一郎氏(国民民主党)、米山隆一氏(立憲民主党)など野党からも問題提起が続き、自民党内では自見はなこ議員を中心に政策修正を模索中だ。
「共に暮らす」ためのルール作りを
本来、保険料をきちんと払っている外国人が高額療養費を受けるのは当然の権利だ。だが、未納のまま医療を受け、その負担を日本人が肩代わりする今の構図には無理がある。
この問題は、外国人排除の議論ではなく、「共に暮らすためのルール作り」だ。国として、自治体として、制度のあり方を問い直すタイミングが来ている。
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