止まらぬ中国の海洋進出 尖閣に8度目の領海侵入、138日連続の接近

中国公船、再び尖閣の領海に侵入 138日連続の接近 緊張高まる現場海域

2025年4月5日午前9時55分ごろ、沖縄県石垣市に属する尖閣諸島周辺の日本の領海に、中国海警局の船2隻が相次いで侵入した。両船ともに機関砲らしきものを搭載しており、海上保安庁の巡視船がただちに退去を求める対応にあたった。中国公船による領海侵入は今年に入って8回目で、尖閣周辺における中国船の接近はこれで138日連続となった。

この日、海上保安庁は第11管区(那覇)の巡視船を派遣。接近してきた中国海警船に対し、「ここは日本の領海だ。速やかに退去せよ」と繰り返し無線で警告し、並走しながら牽制を続けたという。周辺では日本漁船の操業も確認されており、巡視船は漁船の安全確保にも注力した。

尖閣諸島をめぐっては、3月にも中国船による異常な長時間の領海滞在があった。21日から24日にかけては、2隻の海警船が計92時間8分にわたり領海内に居座り、これは2012年の尖閣国有化以降、最長の滞在時間となった。これまでの最長記録は80時間36分だったが、今回の行動はそれを大きく上回った。

さらに3月22日には、別の2隻の海警船が新たに領海に侵入。合計4隻が同時に領海に入るという異例の事態となり、現場の緊張は一層高まった。

海保によると、こうした中国公船の動きは年々増加しており、2024年には過去最多となる355日間、中国船が尖閣周辺の接続水域または領海に姿を見せたという。もはや“日常”と化したとも言えるこの状況に、現場の警備にあたる隊員からは「いつ緊急事態に発展してもおかしくない」との声も上がっている。

日本政府は、今回の領海侵入についても外交ルートを通じて中国政府に強く抗議。外務省の担当者は「主権を脅かす行為には断固として対応する。中国側には挑発行為を直ちにやめるよう強く求める」と述べた。

一方、中国政府は尖閣諸島(中国名:釣魚島)を「自国固有の領土」と主張しており、海警局の活動についても「中国の法に基づく正当な執法行為」との立場を崩していない。中国海警局は近年、海上法執行能力を急速に高めており、その一環としての“定期巡航”を続けている。

この中国側の姿勢に対し、日本国内では安全保障上の懸念が高まりつつある。政府は尖閣専属の警備体制を強化すべく、石垣島に1500トン級の大型巡視船10隻を配備し、常時対応可能な部隊の増員を図っている。現場では夜間・早朝を問わず警備が続けられており、隊員の負担は日増しに重くなっている。

2012年に民主党政権が尖閣諸島を国有化して以降、日中関係は大きく緊張。その後、自民党政権に戻っても中国の海洋進出の動きは収まらず、むしろ年々巧妙化・常態化してきた。国際法に基づけば、日本が実効支配する領土に対して他国が武力に準じた手段で接近することは、明確な挑発行為であり、国際社会の懸念も高まっている。

安全保障の専門家は「中国側は、実効支配を揺さぶる“グレーゾーン事態”を意図的に仕掛けている」と指摘。「明確な軍事衝突は避けつつ、じわじわと圧力をかけて日本の反応を探っている。現場の警備力だけでなく、国際的な世論形成や外交戦略の強化も不可欠だ」と述べる。

現在のところ、尖閣諸島には住民も常駐しておらず、灯台や標識が設置されている程度だが、日本の主権が問われる最前線であることに変わりはない。もしここで対応を誤れば、日本の領土全体への波及も否定できない。

政府は今後、米国をはじめとする同盟国や同志国と連携を強化し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みを進めるとしている。しかし、それにはまず、自国の領土を自らの力で守るという基本姿勢が問われる。

尖閣の海は、今日も緊張の中にある。

尖閣諸島周辺の領海に中国船が侵入 今年8日目、海保の巡視船が領海から出るよう要求

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