トランプ氏がイラン核施設を空爆と発表 フォルドゥ・ナタンツなど中枢を破壊、緊張再燃か

トランプ氏「成功した」 米軍、イランの核施設を相次ぎ空爆

米国が再び中東に緊張をもたらす一手を打った。トランプ大統領は6月21日、自身のX(旧Twitter)を通じて、米軍がイラン国内の核関連施設を複数空爆したと発表。作戦は「成功した」と自信をにじませた。

「フォルドゥ、ナタンツ、イスファハンの核施設を標的に攻撃を行い、いずれも成果を上げた」

投稿ではこう強調し、特にウラン濃縮が進められていたとされるフォルドゥに関しては、地下深くの施設を狙ったことも明かされた。使用されたのは、大型の地中貫通爆弾、いわゆる「バンカーバスター」だとみられている。

すでに全ての米軍機はイランの領空を離脱しており、作戦は極めて短時間かつ精密に実行された模様だ。

緊迫するイラン情勢、空爆の背景にある思惑

今回の攻撃は、イスラエルによる対イラン空爆作戦と連携して行われたと見られる。6月中旬以降、イスラエルは「ライジング・ライオン作戦」としてイラン国内の複数の軍事・核関連施設を標的にしてきた。

米国は従来、外交的アプローチをとってきたが、トランプ氏は「イランは核の一線を越えた」と判断し、軍事介入に踏み切ったとの見方が強まっている。トランプ政権は、最大限の圧力政策を掲げており、今回の空爆はその象徴といえる。

フォルドゥはなぜ狙われたのか?

フォルドゥ核施設は、イラン中部の山岳地帯に位置し、地下80メートル以上の深さに建設された要塞のような構造を持つ。国際原子力機関(IAEA)もかねてよりその危険性に警鐘を鳴らしており、ウラン濃縮活動が進行していたとされる場所だ。

米軍は、地下深部にあるこの施設を無力化するために、特殊な爆弾を用いた可能性が高く、今回の空爆は「核開発の中枢」への直接的な打撃を狙ったものといえる。

賛否が分かれる米国内外の反応

米国内ではこの攻撃をめぐって議論が分かれている。

共和党内の保守派からは「よくやった」「毅然とした対応だ」と評価する声が上がる一方、民主党やリベラル層からは「議会の承認を経ずに空爆を実行したことは問題だ」との批判が相次いでいる。

さらに、国際社会からは「地域の緊張をさらに高める行為だ」と懸念の声が広がっており、特に欧州諸国や国連安保理は、今後の外交対応について注視している。

イラン側は現在、被害状況の精査を進めているが、報復を示唆する動きも見せており、中東地域の不安定化が一段と進む恐れがある。

トランプ氏、再選に向けた“軍事カード”か

今回の攻撃には、トランプ氏の政治的な思惑も透けて見える。2024年の大統領選では敗れたものの、保守層の支持を背景に再起を狙うトランプ氏にとって、強硬な対外姿勢は再選を見据えた重要なアピール材料だ。

「今こそ、アメリカの平和と安全を守る時だ」

彼の投稿には、そうした選挙戦略が色濃く反映されている。

今後の注目点:報復と連鎖の可能性

空爆を受けたイランがどのような反応を見せるかが、今後の最大の焦点となる。過去にもイランは、自国の核関連施設への攻撃には強く反発しており、報復措置としてイスラエルや米軍基地へのミサイル攻撃を辞さない可能性がある。

また、親イラン武装勢力によるテロやサイバー攻撃のリスクも無視できない。中東地域だけでなく、世界の原油市場や国際金融にも緊張が波及する可能性が高い。

日本への影響と求められる対応

日本政府は今回の空爆に対し「事態の推移を注視している」とのコメントを発表。外交ルートを通じて、各国との連携強化を図る構えだが、エネルギー価格や安全保障に与える影響は避けられない。

今後、日本としても中東情勢の変化を的確に見極めた外交・経済政策が問われる局面となりそうだ。

平和か緊張か、岐路に立つ世界

トランプ氏による空爆発表は、核開発を巡る長年の緊張を再び表面化させた。今回の攻撃が一時的な軍事行動にとどまるのか、それとも更なる連鎖を引き起こすのか。世界は今、重大な岐路に立たされている。

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