イスラエルがイラン原子炉を空爆 病院にミサイル直撃、全面戦争の危機高まる中東情勢

イスラエル軍、イランの原子炉を空爆 イランは報復で病院攻撃 中東緊張が最悪の局面へ

イランの指導者は責任を取ることになる

イスラエル軍は6月19日未明、イラン中部アラクにある重水型原子炉施設を標的とした空爆を実施した。軍によれば、これはイランの核関連施設に対する「限定的で予告的な攻撃」としており、攻撃前に周辺住民に対して避難警告が出されていた。

攻撃を受けたIR-40原子炉は完成前の状態で、稼働していなかったため放射線漏洩の心配はないと国際原子力機関(IAEA)は説明している。イスラエル側は「核兵器製造に転用可能な装置を未然に無力化した」と強調。一方、イラン政府は「明確な主権侵害であり、国際法違反だ」と強く反発している。

イスラエルは国際社会の沈黙を盾に、戦争行為を拡大させている

イラン外務省はそう声明を出し、ただちに報復措置に踏み切った。

同日早朝、イランは数十発の弾道ミサイルをイスラエル南部へ向けて発射。最大の衝撃は、ベエルシェバにある主要医療拠点「ソロカ病院」への直撃だった。病院は上層階が破壊され、手術室や集中治療室の一部も被害を受けた。現地報道によると、少なくとも80人が負傷し、うち数人が重体。患者の多くは近隣の医療機関へ緊急搬送された。

病院を攻撃するなど許されることではない。人道の原則を無視した暴挙だ

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長も即座に声明を発し、民間人を巻き込む攻撃に強い非難を示した。

今回の応酬で両国に広範な被害が発生している。イスラエル保健省によれば、病院だけでなくテルアビブや南部各地でもミサイル着弾が相次ぎ、負傷者は240人以上にのぼる。一方のイランでは、空爆による死傷者が政府発表で224人、人権団体は600人超としており、民間人の巻き添えも避けられていない。

イランの最高指導者ハメネイ師の責任は重大だ。彼はもはや存在する資格がない

イスラエルのカッツ国防相はこう述べ、イラン政権そのものを戦争責任の対象とする構えを見せた。ネタニヤフ首相も「イランの挑発には報いを与える」と発言しており、事実上の全面戦争に発展する懸念が急速に高まっている。

アメリカのトランプ政権もこの事態に関与を示唆。中東に展開中の第6艦隊に加え、空母打撃群が地中海に移動しており、「今後2週間以内に介入の是非を判断する」と報じられている。トランプ大統領は「イランの核拡散を阻止するのが我々の責任だ」と発言し、事態の重大性を強調した。

一方、ヨーロッパ諸国は外交努力による停戦を呼びかけている。フランスのマクロン大統領は「これ以上の流血は避けねばならない」と発言し、国連やEUが調停に乗り出す可能性も浮上している。中立的立場を取るスイスは、ジュネーブでの緊急会談開催を検討中だ。

しかし現場の緊張は高まるばかりだ。アラク原子炉以外にも、イラン国内では複数の核関連施設や弾道ミサイルの発射基地が攻撃を受けたとされ、首都テヘラン周辺でも爆発音が相次いで報告されている。イランは「我々の手段はまだ残っている」と主張し、さらなる反撃の用意があることを示唆している。

私たちは戦争を望んでいないが、戦争を仕掛けてきたのはイスラエルだ

イラン政府報道官のこの発言は、状況のさらなるエスカレーションを予感させる。双方ともに引く気配はなく、今後の数日間が中東情勢の命運を左右すると言っても過言ではない。

現在、イスラエルの空港では一部民間便の運航が停止され、南部では避難命令が継続中。イラン側でも国内通信が一部遮断され、政府が情報統制を強化していると報告されている。市民生活への影響も深刻で、ガソリン価格や食料品価格の急騰がすでに始まっているという。

今、国際社会に求められているのは、さらなる報復の連鎖を断ち切る冷静な外交交渉である。医療施設への攻撃という「一線を越えた行為」がもたらす影響は極めて重く、単なる国対国の戦争にとどまらず、人道上の重大な危機を引き起こしている。

平和は武力で築けない。必要なのは対話と共存への意志だ

この声が両国の指導者に届く日は、今のところまだ遠い。

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